たとえ言葉が風だとしても~開発的ビジネス論序論~

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 本文に誤情報がありました。十分に情報を確認していなかった筆者の責任です。本稿により誤解された方、および無責任な批判の対象となった選挙管理委員会に謝罪致します。申し訳ございませんでした。訂正すべき部分にチェックを入れたので確認ください。


某国選挙に関する現状認識を述べる。以下便宜上、8月に行われた選挙を本選挙、新たに行われる再選挙とする。本稿の目的は、再選挙に伴う準備対応と現状認識にいささかの混乱と困惑が見られるため、再選挙を理解する上での争点の明確化、そして与野党陣営の選挙戦略を概観した上で、安全保障に資する情報を提供することである。

 

 先ず始めに確認しなければならない点は、与党は可能な限り早く、そして野党は可能な限り遅く選挙を行いたいという動機に対する理解である。これは言い換えれば、与党は選挙管理委員会及び選挙システムを変更しない(させない)内に選挙を行うこと、そして野党はそれらを変更した後に選挙を行うことを目指しているということである。本選挙では選挙管理委員会が主体となって選挙を執り行ったが、結果として透明性に欠けた選挙となった。具体的には、不正投票や投票センターから集計センター間での理解しがたい数字の変更、投票確認作業手続きの不備、そして選挙集計プログラムに対するハッキングといった疑惑が指摘され、これらの理由から異議を受けた最高裁判決により、本選挙の結果は無効となった。与党党首は最高裁に対して再選挙を行うことによる時間と金の無駄を批判しているが、これは的を得ていない。そもそも選挙管理委員会による適切な選挙運営が実行されたならば、新たなコストがかかる必要性は生じなかったためである。同時に野党党首は、結果として投票という国民の声を踏みにじることとなった選挙管理委員会の責任と改善を要求している。

 

 「以下、誤情報部分」→責任追及に対する対応として選挙管理委員会は人材の刷新を発表したが、これは現状中身の伴っていない対策となっている。透明性に欠けた選挙を行った責任者が選挙管理チームに残ったまま、新たに人材を加入させたのみに留まっているためである。これは小手先の改革であると言わざるを得ず、国民の不満や不安を解消させる対策とは程遠い。原因を追求し、抜本的な対策を行うためには、失敗を犯した責任者を選挙管理チームから除外すべきだろう。←「以上、誤情報部分」また、論争になりやすいICT担当官には第三者による外部の監視チームを用いるという方法もある。「以下、誤情報部分」→現状を考えれば選挙失敗に対する対策は進んでおらず、仮に再選挙が行われたとしても同様の失敗を繰り返す可能性は依然として高いと言わざるを得ない。この点に関しては今後共論争のやり玉に挙げられるだろう。←「以上、誤情報部分」

 

 次に確認しなければならない点は、与野党の選挙戦略である。野党の選挙戦略は「透明性の高い選挙を実現することで世論の過半数に支持されている野党の勝利を目指す」というものである。これは2008年選挙、2013年選挙と疑惑の多かった選挙の際の野党の態度をみれば理解が容易である。野党はそれらの選挙で自らを実質的な勝者とみなしており、本選挙が始まる以前より一貫して不正排除をテーマとした戦略を進めてきた。何故ならこの点が本選挙、再選挙における野党による最大のテーマであり、この問題に十分に対処できなかったため、2008年と2013年に敗北を喫したためである。選挙管理委員会責任者の交代、野党独自の集計センターの開設などがこれにあたる。これらの戦略が変更されることはなく、再選挙においても透明性を確保するための戦略を推し進めるだろう。だからといって野党自らが不正を犯さないという保証がない点には留意しなければならない。

 

 対する与党の選挙戦略については、SNSやブログで述べるには限界がある。与党の選択肢は数多く残されてはいない。実現可能且つ効果的な戦略はおそろく2つだろう。一つは本選挙と同様の戦略、即ち選挙前に多くのコストをかける、組織的な戦略である。もう一方の戦略は選挙そのものを壊す戦略であり、それはケニアの政治史上既に発生している。どちらか一方、あるいは併用しての再選挙となるだろう。与党がどのような戦略を取るかは未だ判明していないが、それは住民間の言説の中で確実に顔を出すことになる。

 

 いずれにせよ、安全保障の観点からいえば、住民レベル、草の根レベルでの情報収集を幅広く行うことが対象地域内における安全確保に重大な意味をもたらす。

 

 様々な立場に様々な方がおられるし、立場や所属コミュニティによって難易度は変化するかもしれない。それでも私は本選挙及び再選挙の分析は比較的容易であると指摘する。指摘し続ける。争点と問題点が顕在化しており、適切な分析の枠組みを当てはめやすいためである。これは社会にとっては決して良いことではなく、顕在化は同時に深刻化を意味している。

 

 上述した問題点に対しても、おそらく今月内に答合わせができる状況となるだろう。分析のポイントも既に述べた。私が期待しているのは、あからさまにむき出しとなっているこれら問題に対して、何らかの対処策が施されることである。同じことを繰り返すべきではない。


訂正部分注記。


選挙管理委員会内の人材配置を行い、本選挙時の責任者は再選挙において選挙管理チームに加わらず、新たな人選からなるチームで選挙を実施します。チェアマンを除く。


組織内での人材再配置がどこまで透明性のある選挙に貢献するかについて検討が必要ですが、新たなチームに期待しています。


情報確認を怠り、いらぬ誤解と批判を招きかねない情報を公開したことを猛省します。